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音楽だけで描く8Kスーパーハイビジョン映像

音楽企画課の榎本広樹さんに、お話しを聞きました。

―― 榎本さん、よろしくお願いします。

榎本 よろしくお願いします。突然ですが、イタリアのローマに行ったことはありますか? ローマの名所の一つに、トレヴィの泉がありますよね。コインを1枚、後ろ向きに投げ入れると再びローマに来ることができるという噴水。

―― はい知っています。有名な伝説ですよね。

榎本 私もかつて行ったことがあって、そこでコインを投げ入れようとしたのですが、ちょうど工事中で水がはっていなかったんです。泉じゃなくて、ただ彫刻のある広場みたいになっていて、コインを投げられなかった。それ以来約30年、ローマ再訪は叶わず、現在に至っています。

―― 伝説どおりですね(笑)。

榎本 残念ながら。そんなローマをこよなく愛したのが、二十世紀の前半に活躍したイタリアの作曲家、レスピーギという人です。ほらイタリアって、ファッションでもデザインでも色彩豊かじゃないですか。このレスピーギ、オーケストラを色彩豊かに響かせることに関しては、ヨーロッパ音楽史上最高クラスの技術の持ち主なんです。もうね、某骨董品の鑑定家が聴いたら、「いい仕事してますね!」っていうくらい。

―― 絢爛豪華ということでしょうか?

榎本 スィ。めくるめくゴージャスな錦絵の世界が広がります。その代表的な作品が「ローマ3部作」です。

―― 本当にローマを愛していたんですね。

榎本 そうなんです。ローマへの愛があふれている。まず最初に作曲したのが「ローマの噴水」。4つのローマの噴水の情景が音楽で描かれているのですが、ここに「昼のトレヴィの泉」もおさめられています。

―― 榎本さんが二度と訪れることのないトレヴィの泉。

榎本 そこ突っ込まないでください。で、次に作曲したのが「ローマの松」。これは、ローマの長い歴史を見続けてきた松の木を通して、古代から続く悠久の時間を幻想的に描いた一曲です。終曲の「アッピア街道の松」は、古代ローマの大軍が行進してくる情景が圧倒的な臨場感で描かれています。もうね、音楽だけで描く8Kスーパーハイビジョン映像状態。

―― おお。

榎本 そして最後に作曲されたのが「ローマの祭」。広場でみんなが熱狂的に踊り、その喧騒に混じって、手回しオルガンや物売り、よっぱらいの掛け声が響いてくる。ローマ3部作、全部がそれぞれ4つの情景からなっている、見て聴いて楽しい傑作です。なんとそれが今度の東京交響楽団の第100回新潟定期演奏会で、一挙に聴けるんです。

―― ローマ3部作を一挙にですか。

榎本 演奏するオーケストラは、管楽器が好調を維持している東京交響楽団ですし、指揮者はその瞬間瞬間のシーンを描くのに長けた同楽団正指揮者の飯森範親さんですから、もうね、これは間違いないです。皆さんから「いい仕事してますね!」って言っていただけると思います。

―― 榎本さんがおっしゃるところの「音楽だけで描く8Kスーパーハイビジョン映像」という、圧倒的な音楽絵巻を味わうことができるのですね。

榎本 そのとおりです。ローマにいらっしゃったことがある方は、彼の地の風景や空気を思い出していただきたいですし、ローマにいらっしゃったことがない方は、まだ見ぬ彼の地に思いを馳せていただければと思います。

―― 新潟に居ながらにして二千年の都、ローマを味わうことができる演奏会なんですね。あ、榎本さんも良かったですね。トレヴィの泉、音楽を聴きながら心だけはもう一度訪れることができるじゃないですか。

榎本 あ、ホントだ!レスピーギが描いたトレヴィの泉なら、工事中ってこともないですしね。楽しみです! 嗚呼でも悲しいかな、心に蘇るのは水のないトレヴィの泉の光景・・・。

―― 遠い目をしている榎本さんはそのままに、インタビューはこれでおしまいです。ありがとうございました。

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