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世紀の歌姫、ソプラノ界に君臨する女王による
珠玉の美声が響き渡る天上の世界
限りなく澄み渡る透明な声、超絶的な技巧、そして人間的な情感にあふれた歌。「天上の美声」といわれるその声と、美しいステージ姿は一生心に残ることでしょう。東京交響楽団をバックに歌われる珠玉のオペラ・アリア。今年一番の豪華で贅沢な演奏会です。
“完全無欠なコロラトゥーラ”“ベル・カントのディーヴァ(女神)”と呼ばれるグルベローヴァは、登場するたびに熱狂的な歓声で迎えられる。1968年のデビュー以来、歌い手として長いキャリアを誇るが、その輝かしい声と衰えのない歌唱力は見事としか言いようがない。まさに“奇跡のコロラトゥーラ・ソプラノ”である。
ソプラノの中でもひときわ高い音域が要求され、しかも澄んだ響きの中で速い楽想を次々歌わなければならないコロラトゥーラは、オペラでもしばしば独特なキャラクターを与えられる。難技巧をそれと感じさせず、可憐さから激しい情感のほとばしりまでを柔軟に歌い分ける多彩なパレットが要求されるのである。グルベローヴァも、イタリア、ドイツ、とスタイルの異なる対照的な役柄を歌ってデビューした。
生地ブラティスラヴァの音楽院に学んだグルベローヴァは、1968年に同地の歌劇場で<セヴィリアの理髪師>のロジーナ役でデビュー。しつこい後見人をやりこめて、アルマヴィーヴァ伯爵と結ばれる聡明にしてコケティッシュなロジーナでは、幅広い音域を疾風のように駆け抜ける超絶技巧が要求される。ウィーン・デビューで歌った<魔笛>の夜の女王では、それに加えて楽器で楽々と演奏するかのような音程の正確さや音質の均一さを、これでもか!とばかりに見せつけなければならない。それも、復讐心に燃える母親を演じながらである。
本格的な活動の場をウィーンに移した70年代、たまたま住んでいた筆者の耳に残ったのは、同郷の先輩ルチア・ポップなどと並び、すみずみに神経のゆきとどいた若きグルベローヴァの清楚な歌声であった。やがて<ランメルモールのルチア>で大成功を収めた彼女は、ザルツブルク音楽祭、スカラ座、コヴェントガーデン、メトロポリタンオペラと一躍スターダムにのし上がってゆく。スタイルを問わない芸域の広さと、大ベテランとなって今なお新しい役柄に挑むその精神を支えているのは、凛とした歌唱に感じられる強い意志力ではないだろうか。
東京、大阪、新潟など4公演しかないこの日本ツアーでは、得意とするモーツァルト、またドニゼッティ、ベッリーニといったイタリアのベル・カント(むらの無い流麗な歌唱)の世界に浸ることができる。そして円熟のグルベローヴァと共演するのが、年6回の定期公演で新潟と縁の深い東京交響楽団とくれば、これはもう聴くしかない。筋金入りのクラシック・ファンから初心者まで、“劇場に神が降りる瞬間”に立ち会えるかもしれないのだから。
横坂康彦(新潟大学教授、音楽学・音楽マネジメント)
ソプラノ/エディタ・グルベローヴァ
指揮/ラルフ・ヴァイケルト
管弦楽/東京交響楽団
【予定曲目】
■モーツァルト
♪歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲(オーケストラ)
♪歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より ドンナ・エルヴィーラのアリア“あの人でなしは私をあざむき”
♪歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲より」序曲(オーケストラ)
♪歌劇「イドメネオ」より エレットラのアリア“この心の中に感じるものすべては”
♪歌劇「イドメネオ」より バレエ音楽(オーケストラ)
♪歌劇「イドメネオ」より エレットラのアリア“オレステとアイアスの苦しみを”
■ベッリーニ
♪歌劇「ノルマ」序曲(オーケストラ)
♪歌劇「海賊」より フィナーレのイモージェネのアリア“その汚れない微笑と”
■ドニゼッティ
♪歌劇「シャモニーのリンダ」より リンダのアリア“この心の光”
♪歌劇「ルクレツィア・ボルジア」より “安らかに眠っている…なんと美しい”
■ロッシーニ
♪「ウィリアム・テル」より 序曲(オーケストラ)
※演奏順不同、曲目は演奏者の都合により変更になることがあります。
ラルフ・ヴァイケルト/指揮
オーストリア生まれ。ボン歌劇場の音楽監督、フランクフルト歌劇場音楽総監督、ザルツブルグ・モーツアルテウム管弦楽団および州立歌劇場の首席指揮者、チューリヒ歌劇場の音楽監督などを歴任し、現在はフリーの指揮者として、ウィーン、バイエルンなど多くの歌劇場に定期的に出演しているほか、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ウィーン響、チェコ・フィル、N響など世界各地のオーケストラに招かれて指揮をしている。06/07年には、ヨーロッパ10都市でのコンサート指揮の他、ヘルシンキで《フィデリオ》、ハンブルクとミュンヘンで《ナブッコ》、ベルリン・ドイツ・オペラでは《イドメネオ》などを指揮している。
東京交響楽団/オーケストラ
1946年に東宝交響楽団の名で創立。1951年に東京交響楽団と改称して今日に至る。
歴代の指揮者には、近衛秀麿、上田仁などがおり、1964年以来、秋山和慶が長きにわたり音楽監督・常任指揮者を務めた。現在は音楽監督にユベール・スダーン、桂冠指揮者に秋山和慶、常任指揮者に大友直人、正指揮者に飯森範親を擁する。
1949年第1回毎日音楽賞、1953年文部大臣賞、1990年音楽之友社賞、1993年京都音楽賞大賞を受賞、1994年度毎日芸術賞、文化庁芸術作品賞、1996年度モービル音楽賞、1998年サントリー音楽賞、2001年中島健蔵音楽賞特別賞を受賞。
新国立劇場では1997年のオープニング公演オペラ「TAKERU・建」をはじめ、オペラ・バレエ公演を担当。
海外公演も1976年北米ツアーをはじめ19ヵ国69公演を数え、世界各地で高い評価を得ている。
新潟市とは準フランチャイズ契約を結び、1999年4月より、新潟定期演奏会や特別演奏会を開催している。
>> 東京交響楽団公式サイト

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