りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピア シリーズ



能楽堂について

シェイクスピアと能楽堂。一見全く相容れないこの二つの要素。ところが、能楽堂とシェイクスピアの予想を裏切る相性の良さは、本シリーズ上演のたびに観客の皆様から指摘されてきたことなのだ。


それは一体どうしてなのだろうか?


シェイクスピアの芝居は場数が多い。その場面ごとに転換し、そのつど装置を飾りなおしていたら一日ががりになってしまう。一体どのように処理していたのか。
シェイクスピアが実際に上演していた劇場の形は、観客席につきだしたエプロンステージの形。正面からでなく、両脇からも見られる形だった。そして、装置などはほとんど飾らず、なにもない空間で、観客のイマジネーションに訴えて芝居を上演していた。

この形状そのものが、非常に能楽堂と似ていると言える。
能楽堂は、三間四方の本舞台と、橋掛かりによって構成され、やはり観客席の中に突き出したかたちで三辺から観客に見られることになる。なおかつ基本的に装置を飾ることはなく、飾ったとしてもごく最小限の象徴的な作り物を設置して観客の想像力に訴える。


シェイクスピアの戯曲は、この劇場様式にあわせ、その機能を十分に生かす形で生まれた戯曲。役者の登退場、肉体表現だけで場面を変えて見せていた。役者が肉体を変え、役を変えれば、観客は自然と次の場面を想像して、楽しんでいた。


能楽堂とシェイクスピアの予想以上の相性のよさは、こうした点から生まれると言えそうだ。
シェイクスピアが、この劇場構造に合わせ、それを生かすために作り出した戯曲が、時と場所を変え、この現代、日本の能楽堂にのって蘇り、その真価をいかんなく発揮しはじめたのである!