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SPOTLIGHT interview/山本真希さん「まっすぐオルガンと向き合い、呼吸を合わせて奏でたい」

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SPOTLIGHT interview/山本真希さん「まっすぐオルガンと向き合い、呼吸を合わせて奏でたい」

2006年から2020年までりゅーとぴあ専属オルガニストを務めた山本真希さん。2年前、コロナ禍で中止となった任期最後のリサイタルが、この3月に開催できることになりました。新潟への特別な思いや、リサイタルへの意気込みを語ってもらいました。

 

―おひさしぶりです。専属オルガニストをご退任後いかがお過ごしですか。

コロナ禍で自粛生活が始まった頃は自宅にこもって、オンラインや録音など新しい方法を模索していました。閉塞感を感じる日々でしたが、学生時代には思いもよらなかった方法で、できることがたくさんあるのだと新たな発見や学びがありました。インターネットが普及したこの時代にコロナ禍を経験し、人と会って話すことや手紙を書くこと、生演奏を聴くこと、これまで当たり前と思っていた、生きた体験を積み重ねる大切さを改めて実感しました。

 

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―地元大阪へ戻られた感想は。

雪国新潟に長く暮らしたからか、大阪は冬でも暖かく感じます。寒さが苦手で、新潟では何度も吹雪にへこたれていたはずなのに、雪がない冬はどこか寂しく物足りない。いつの間にか、厳しい寒さと共に春を待つ暮らしがごく普通になっていたのだなぁと気づきました(笑)。

昨年から続くこの状況下で、感染対策を踏まえてのりゅーとぴあの運営はどれほど大変なことだろう、皆さんお元気だろうかと気になっていました。公演や活動が再開されつつあると伺い、本当に良かったと喜んでいます。

 

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専属オルガニスト時代、オルガンの普及に努めた

 

―真希さんといえば、オルガンの魅力を伝えるため全力で取り組む姿が印象的でした。

素晴らしいオルガンを備えたホールがあって、演劇やNoism、ジュニア音楽教室など多彩な活動が行われ、サポート体制にも恵まれているりゅーとぴあだからこそ、多様で分野の垣根を越えた企画にも取り組むことができました。公演を支える各分野の方々の働きは、依頼を受けて演奏に出かけるだけではきっと知りえなかったことだと思います。伝統文化、風土が大切にされている新潟で、多くの方々に支えられ、微力ながらも活動に携われたことを幸せに感じています。

 

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―さて2年前に中止となった真希さんのリサイタルが、いよいよ開催の運びとなります。

再演が叶わない公演が多い中、特別な機会をいただけたことは本当に幸せで、身の引き締まる思いがしています。実現にご尽力くださった皆様、様々な形でずっと応援くださった皆様に深く感謝しています。

3月のリサイタルは、新潟のオルガンと相性抜群のスペイン音楽と、J.S.バッハの名曲を中心にお届けします。前半に演奏するスペインの音楽は、戦いを記念する儀式の作品でも宗教的な作品でも、至るところに舞踊のリズムや要素が取り入れられていて、スペインの人は本当に踊りが好きなのだなと感じます。後半はバッハの名曲と、レーガーの編曲による、ロマンティックな響きのバッハ作品をお贈りします。また、新潟市出身の作曲家、馬場法子さんの作品も演奏いたします。この作品は、オーバーホール前のオルガンをモデルに作曲されたので、今回、オーバーホール前後で変化した内容をお伝えし、演奏についてのアドヴァイスもいただきました。

 

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20年に一度のオルガン・オーバーホールに立ち会った

 

―真希さんと14年間ともに過ごしたオルガンとの再会ですね。何と話しかけますか。

「かけがえのない多くの出会いや経験を与えてくれてありがとう。また、演奏できることがとても嬉しいです」と伝えたいです。

オルガンはいつもその場所にあって、演奏者をまっすぐ迎えてくれます。心を通わせたいと願えばそのようになりますし、支配するつもりで臨めば、そっぽを向かれて対話になりません。こちらの心のありよう通りの音が見事にかえってきます。まっすぐな気持ちでオルガンと向き合い、呼吸を合わせて美しい音を求めたい、そういう音を聴いていただきたいです。皆様にお会いできることを心より楽しみにしています。ぜひご来場ください。

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(りゅーとぴあマガジン 2022 Winter vol.67より転載)

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