２年前にお届けすることが叶わなかったプログラムとともに、前専属オルガニスト山本真希がりゅーとぴあに帰ってきます。

出演

山本真希（オルガン）

曲目

J.ヒメネス：第6旋法のバッターリャ
P.ブルーナ：第6旋法のティエント「ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ」
　　　　　　第2旋法の過ったティエント
　　　　　　聖母の連祷による第2旋法のティエント
J.リドン：ミサのための4つの作品より、エレヴァシオン、アレグロ
　　　　　6つの作品またはソナタより、ラルゴ-インテント
J.S.バッハ：幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
馬場法子：J.S.バッハ「カノン風変奏曲」の為の4つの間奏曲より
J.S.バッハ／M.レーガー：半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

リサイタルによせて　

山本真希

新型コロナウイルスの感染拡大で、コンサートの中止や延期が相次いだ昨年。未だ落ち着かない状況が続きますが、この度、昨年中止になったリサイタルを開催させていただくことになりました。実現にご尽力くださった関係者の皆様はじめ、これまでお支えいただいた多くの皆様に心より感謝申し上げます。

環境が変わり、自粛生活が始まってから様々な制限が続く中で、次第に心がすり減っていくような恐ろしい感覚に戸惑いました。これまで当たり前だと思っていたことのありがたさに気付くことも多くありましたが、何より実感したのは、演奏を聴いて下さる方が演奏に与える影響は、私が思っていたよりずっと大きかったということです。
音楽を通して聴く方とつながり、二度とない時間を創りあげる。生演奏ならではのこの瞬間がやはり好きで、私にとって大切なものだという思いがこみあげてきました。美しい音楽をお聴きいただきたいと思うと、課題は増えるばかりですが、お伝えしたい音を求めて、音楽と向き合っていきたいと思います。

リサイタル・シリーズを締めくくる今回は、新潟のオルガンに最もふさわしいスペイン音楽とJ.S.バッハをテーマにお贈りいたします。前半は黄金時代のスペインを象徴する絢爛豪華な響きを、後半はバッハの名曲をはじめ、バッハを敬愛したレーガーの重厚な作品と、新潟市出身の馬場法子氏による、新潟のオルガンのために書かれた作品をお楽しみください。

専属オルガニストに就任して初めてのリサイタル前日は、一睡も出来ないまま夜が明けました。緊張してホールに踏み出した時、拍手のあたたかさに驚き、励まされたことをはっきり覚えています。新潟で暮らして、新潟で育まれた伝統文化、風土を大切にして生きる方々の姿を目にし、生活の豊かさを感じました。恵まれた環境で、微力ながらも活動に携われたこと、また、演奏を通してこれまでの感謝の気持ちをお伝えする機会をいただけたことを本当に幸せに思います。
来年3月、皆様と会場でお会いできる日を心より楽しみにしております。

山本真希　プロフィール

神戸女学院大学音楽学部、同大学専攻科卒業後、渡独。ドイツ、フライブルク音楽大学大学院、シュトゥットガルト音楽・演劇大学ソリスト科で学ぶ。2005年、オルガンソロを最優等の成績で修了してドイツ国家演奏家資格を取得。その後、フランス、ストラスブール音楽院で学ぶ。井上圭子、Z.サットマリー、J.ラウクヴィック、C.マントゥーの各氏に師事。第1回ドイツ・ランドゥスベルク国際オルガンコンクール第3位。
2006年から2020年3月まで、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館専属オルガニストを務める。ソロCD、サン=サーンス、オルガン交響曲第3番のライヴ録音CDをリリース。東京交響楽団、日本センチュリー交響楽団と共演。ハーモニーホールふくいオルガン・スクール講師、相愛大学音楽学部オルガン科非常勤講師。