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『真夏の夜の夢』観劇録

「この作品は、数年間は語られるレジェンドになるー」。
観劇の真っ最中、筆者である私はそう感じた。
視覚を疑うような舞台美術の使い方、
映像を巧みに駆使した舞台演出に、度肝を抜かれてしまった。
シェイクスピア「A Midsummer Night’s Dream」は、
演出の異なる日本語翻訳劇を、これまでに4回は観劇した。
野田秀樹潤色の「真夏の夜の夢」は初観劇のため、
原作のストーリーは知っていても、
全く別の作品のようになっていて、展開が予想できない。
原作の有名なセリフが随所に使われながらも、
野田秀樹作品特有の言葉遊びがクリティカルヒットし、
有名なシーンを原作どおりに展開すると思えば、
原作にないメフィストの存在が輝きを放つ。
次はどんなシーンが展開されるのか、ワクワクしながら舞台に魅入っていた。
そして、ラストへと至る際に「この作品はレジェンドとなる」と感じたのだった。

終演後、出演した河内大和さんに地元新聞社の取材があり、立ち会った。
演出のシルヴィウ・プルカレーテさんの舞台は、
2018年『リチャード三世』(東京芸術劇場)に続き2度目。
プルカレーテさんの舞台に出演できることを光栄と表現した河内さん。
河内大和さんは、山口県出身で、新潟大学に進学。
在学中、りゅーとぴあの舞台で活躍。
りゅーとぴあでの初舞台は2000年「夏の夜の夢」(スタジオB公演)、
りゅーとぴあで最後の舞台は2010年 能楽堂シェイクスピアシリーズ
インターナショナル版の「ハムレット」。
そして2020年に「真夏の夜の夢」で新潟に帰ってくる。

『真夏の夜の夢』観劇録の画像
河内大和さん

河内さんは2010年以来、新潟市には戻っていないとのこと。
蜷川幸雄演出「ヴェローナの二紳士」、
野田秀樹演出「エッグ」「MIWA」「Q」、
吉田鋼太郎演出「ヘンリー五世」「ヘンリー八世」と
全国的に注目を集める話題作に次々と出演している。
ひたすら駆け抜けた10年間だったのだろう。
取材では、新潟での活動があったからこそ今があること、
師匠である栗田芳宏さんの新潟での教えに、
今になって気づくことが多いことも語ってくれた。
今回の「真夏の夜の夢」では、河内さんは「酒屋」という役。
限られた出番の中でも、演技の幅がじわっと広がったように感じた。
率直に伝えたところ、謙遜の言葉が返ってくる。
それでも東京で培った自信のようなものも感じられた。
新潟から羽ばたいた河内大和さんの活躍には、今後もぜひ注目してほしい。
昔と変わっていない、とても謙虚で努力家な姿勢に加え、
研鑽を重ねたキャリアがあれば、
これからもどんどん活躍を続けてくれると確信した。

11/7(土)・8(日)にりゅーとぴあ 劇場で上演の「真夏の夜の夢」は、
レジェンド級のクオリティ、新潟育ちの注目俳優の出演と、
見どころ満載の作品! ぜひ体感していただきたい!!

【お知らせ】

河内大和さん出演舞台『赤鬼』(野田秀樹演出)が
11月13日(金)17時~30日(月)17時まで、
芸劇チャンネルで映像配信されます。
こちらもぜひご覧ください。

https://www.geigeki.jp/info/akaoni_streaming/

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