【アーティスト・インタビュー】中川優芽花さん(ピアノ)にお話を伺いました♪

2021年クララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝と同時に聴衆賞ほかも併せて受賞し、音楽祭への出演や名門オーケストラとの共演など、世界中から注目を集めているピアニスト・中川優芽花さん。日本各地でもリサイタルや国内のオーケストラとの共演を重ね、行く先々で大絶賛されています。中川さんの生演奏をりゅーとぴあで聴ける機会が、2026年4月、ついに実現します。
今回のリサイタルで演奏する曲目などを中心に、中川さんにさまざまなお話を伺いました。
(インタビュー:2026年2月)
――ドイツで生まれ育ち、小さい頃にピアノを習い始めたと伺いました。ピアノを始めた頃の記憶で、今も鮮明に残っている瞬間や出来事はありますか?
正直、あまりはっきり覚えていることはないです…。
しいて言えば、初めてのコンサートで、間違えて1オクターブ低く演奏してしまったことくらいでしょうか。
――ピアニストとしての道を選ぶ決定打になった出来事はありますか?
講習会で海老彰子先生にお褒めの言葉をいただいたことが、大きなきっかけでした。そのお言葉をきっかけに、「ピアニストとしてやっていこう」と決心できたんです。
――ここ数年は日本での公演も増えていらっしゃいますね。最近の演奏活動の中で、音楽家として“変化”を感じることはありますか?
昔は、自分の演奏が誰かの幸せにつながる実感がなく、聴いていただくこと自体に申し訳なさを感じていました。聴いてくださる方の大切なお時間に見合う演奏をしなければ、といつも不安に思っていたんです。
でも最近は、私の演奏を楽しみにしてくださる方が増えて、本当にありがたく感じています。誰かが私の演奏を心待ちにしてくれて、喜んでくださることを実感できるようになりました。おかげで、今ではステージに立つときは、皆様と一緒に音楽を楽しむ時間になりました。
――今回のリサイタルのプログラムは、ショパンとシューマンで構成されています。どのような意図やテーマで選曲されたのでしょうか?
私は二人に多くの共通点を感じていますが、同時に決定的な違いもあると思っています。その“似て非なるもの”を、一つのプログラムの中で感じていただけたらと思い、このように構成しました。
例えばどちらにも「幻想」という言葉が含まれていますが、ショパンの「幻想」は内面から湧き上がる情熱や孤独が、そのまま音楽になったような世界。一方シューマンの「幻想」は、文学的な想像力によって築かれた、物語性を帯びた世界観を感じています。
――今回の演奏曲に向き合う中で、新たに発見したことや、特に意識しているポイントはありますか?作品へのアプローチや、今回ならではの視点があればぜひ教えてください。
シューマンもショパンも作品の構成がとても複雑です。内声が多く、まるで糸が絡まったような部分もあるので、整理して上手く内声を際立たせるように歌う事を意識しています。
――今回の公演を通して、どんな世界や感情をお客様に届けたいと考えていますか?公演全体のイメージや、聴き手に感じてほしいこと、特に注目してほしいポイントをお聞かせください。
今回のプログラムは、内向的で、少し聴きづらいかもしれません。でも私は、内に秘めたものこそ美しく、いつも心を打たれると感じています。そうした内面的な音楽だからこそ、聴く方と心で深く通じ合えるとも信じています。
コンサートでは、心の奥でそっと癒されるような感覚をお届けできればと思っています。少しでも日々の忙しさや嫌なことから気持ちが軽くなり、ほっとした気持ちでお家に帰っていただける─そんなひと時になれたら、とても嬉しいです。
――当日のピアノはShigeru Kawaiの最上位モデルSK-EXが使用されます。ショパンコンクールでも使用されたピアノですね。中川さんご自身が考えるこのピアノならではの良さや、お好きなポイントをお聞かせください。
Shigeru Kawaiのピアノの魅力は、その深みのある音色です。まるでオーケストラを一台のピアノに秘めたかのように、多彩な音が自由自在に響き、演奏者の思いに応えてくれます。
特に今回のピアノは特別で、音が遥か遠くまで伸び、まるで歌うかのように響いてくれるところが魅力です。
――ステージに立つ前のルーティンや、心身の整え方があれば教えてください。別のインタビューではランニングを日課になさっているという一文も拝見しました!
ステージに立つ前は少しおにぎりやチョコなどを食べてコーラを飲みますね。
実は冬になるとランニングはサボっています…。
その代わりにお家で編み物をしています。
――最後に、今回のリサイタルを楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
コンサートが、皆様にとってリラックスして音楽のひとときを心から楽しめるーそんな時間になったら、とても嬉しいです。
――ありがとうございました!
中川優芽花 Yumeka Nakagawa

ドイツに生まれ育った日本人ピアニスト。2021年、クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝、および聴衆賞ほかもあわせて受賞。2019年以降ロンドンのウィグモア・ホール、デュッセルドルフのトーンハレ、ワイマールハレ、マリインスキー国際ピアノ・フェスティバルなどで演奏。クリスティアン・ツァハリアス指揮ホーフ交響楽団、ポルト・カーザ・ダ・ムジカ管弦楽団などと共演しているほか、ウィーン・コンツェルトハウス、リンツ・ブルックナーハウスでも演奏している。2025年6月にはハンブルクのマルタ・アルゲリッチ音楽祭に出演。
2001年デュッセルドルフに生まれる。ロベルト・シューマン音楽大学にてバーバラ・シュツェパンスカのもと音楽の教育を受け始め、ロンドンのパーセル音楽院でウィリアム・フォンに学ぶ。2021年よりワイマールのフランツ・リスト音楽大学においてグリゴリー・グルズマン教授に師事している。
2022年3月、クララ・ハスキル国際優勝後初の来日リサイタルは大絶賛を浴び、以後大阪フィル、名古屋フィル、神奈川フィル、東京フィル、読響、兵庫芸術文化センター管、大阪響、都響、アンサンブル金沢といった国内の主要なオケと共演を重ね、行く先々で絶賛されている。







