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サクラ日記 「桜丘」第1話

2026年天空のお花見会 in 能楽堂 開催決定!

桜の花が咲く頃に能楽堂を開放する“天空のお花見会 in 能楽堂” を2026年4月12日(日)に開催することとなりました。りゅーとぴあ能楽堂の魅力や使い方を広く知っていただく春の恒例企画です。準備は既に始まっており、現在は開志専門職大学アニメ・マンガ学部のインターンシップで、イベントを盛り上げるキャラクターを作っています。キャラクターのイメージや場面設定を考えるうちにぼんやりと物語ができましたので、今回と次回のサクラ日記はこの物語をお送りします。この物語は“天空のお花見会 in 能楽堂”と関係のあるようで関係のない架空のストーリー、題名は「桜丘」としました。本当はアニメかマンガにしたいところですがインターンシップで作るには時間が足りないため、台本で話を進めます。どうぞご高覧ください。

 

桜丘

場所 桜の咲く公園。公園はなだらかで小さな山になっており頂上に四阿(あずまや)がある。
 ・四阿(あずまや)とは…公園のなかに設けられた休憩所。屋根と4つ柱でできた小さな建物。

 

登場人物

サクラ日記 「桜丘」第1話の画像

 20歳くらい。写真を撮るのが趣味。能のことは知らない。

 

サクラ日記 「桜丘」第1話の画像

老人 姿は老人だが実は精霊。この公園を見守っている。

 

サクラ日記 「桜丘」第1話の画像

少年 見た目は普通の高校生だが、現世と異世界と行き来する特殊な能力をもつ。

 

サクラ日記 「桜丘」第1話の画像

ツル 公園のなかに住処がある。

 

ナレーション(Na)  雲一つない青空、桜の花は満開を少し過ぎた頃、春風にのって花びらが舞っている。公園の坂を登った先に古びた四阿(あずまや)が見えるが人々から注目されることもなくひっそりと建っている。公園はお花見客でにぎわっている。若い女がカメラで桜を撮影している。
(ふと「天空のお花見会in能楽堂」のポスターが目に入る。)
女 これは・・・能楽堂なんてこの辺りにあったかしら。
Na 見入っていると、老人が通りかかる。
老人 この坂を登った先にある舞台でやっているんじゃ。
(老人立ち去る)
 SNS映えの写真が撮れるかも。行ってみようかな。
Na 女は木々で囲まれた遊歩道を登る。木が生い茂っているので周りの様子はよく見えない。
 このあたりは誰もいないな・・・
Na 不思議なことに、ひとりきりという感じはしない。緩いカーブをいくつか曲がり坂を登りきると視界が開けた。
 (息を切らしている)着いた!
Na 女の目の前に能舞台がある。舞台の屋根は寄棟(よせむね)で四阿と同じ形をしている。舞台の上では先ほどの老人が舞を舞っている。いや、正確に言えば、先ほどの老人であることに間違いないが、姿が明らかに違う。翁の能面を付けて装束で身を包んでいる。女はあっけにとられて釘付けになっている。
(不意に横から声がした)
少年 驚くよね。
Na  いつの間にか少年が立っている。
少年 ここ、能舞台なんだ。
(女はやっと息を吐く)
 ……公園、だよね?
少年 うん。“観る”と舞台が出現するんだ。
Na 老人はくるりと後ろ向きになり鏡板の方へ進むと姿が消えた。すると次の瞬間、ツルが舞台へ舞い降りた。ツルは舞い、やわらかい風が吹き、花や木が揺れている。
 これは能なの?
少年 老人の物真似をしているんだ。昔はね、たくさんの人々がここに集まってこうやって楽しい時間を過ごしていたんだ。

つづく

出演者募集!

2026年4月12日(日)“天空のお花見会 in 能楽堂”に出演する団体・個人を募集します。能楽堂の特色を出演者として体験していただけます。能楽堂の使用目的が能楽のほか、管楽器演奏、弦楽器演奏、話芸、歌唱などにも使えることを、イベントを通してPRします。
詳しくは募集要項をご確認ください。

 

 

 

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