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Special interview アンドリュー・マンゼ(後編)

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(C)HT/PCM

11/16(水)開演、NDR北ドイツ放送フィルハーモニー交響楽団 で指揮を務める名匠アンドリュー・マンゼ。インタビュー<後編>ではマエストロご自身やソリストのオピッツについて、そして日本に対する思いなどをお聞きしました。

こちらのインタビューは、前編中編・後編の<前編>です。

マエストロについて

ーマエストロは、元々バロック・ヴァイオリンの奏者として、非常に有名で、その後、指揮者に転向され、多くのオーケストラに客演されています。バロック・ヴァイオリン奏者の時の経験や知識などは、指揮者としてのマエストロにとって、どのように生きているのでしょうか?

M(マエストロ・マンゼ以下M):それは間違いなく、大きな意味を持っています。
でも、まず、私のヴァイオリニスト時代を覚えてくださっていて、ありがとうございます。嬉しいです。ヴァイオリニストとしての最後の演奏会、そしてツアーは日本でも行われたので、とても懐かしく今思い出しています。

私はとても若い頃からいろいろなオーケストラでヴァイオリニストとして演奏してきました。クラウディオ・アバドやレナート・バーンスタイン、小澤征爾と言った偉大な指揮者のもとで演奏し、その素晴らしい指揮を見てきましたし、同時にだめな指揮者もたくさん見てきました(笑)。だから素晴らしい偉大な指揮者とだめな指揮者の両方のもとで演奏し、その両方をつぶさに見てきました。そして良い指揮者から学び、悪い指揮者からさらに多くを学んできたのです。私はオーケストラの中に座っている感覚が分かります。そしてレパートリーも演奏者の立場から知っています。ただし、ヴァイオリンパートからの立場だけで考えるのではなく、オーケストラ全体への視野を持って、全体を感じなくては、考えなくてはならないので、その部分は指揮者として、それなりの時間をかけて身につけていきました。確かに私はヴァイオリン奏者でしたが、オケにはオーボエ、トランペット、チェロもいます。そしてそのどれもが同じくらい大切なのです。全てのパートが同じように感じ取れるようになるまでは時間が必要だったのです。

ソリストについて

ーオピッツ氏との共演ですが、今回が初めてとお聞きしています。今回の共演について、期待していること、或いは作りたいと思っている音楽などはありますか?

M:オピッツ氏との共演は、今回のツアーでとても楽しみにしていることの1つです。ドイツには豊かなピアノ音楽、演奏の伝統があります。私自身幼いころからヴィルヘルム・ケンプやアルトゥール・シュナーベルのレコードを聴いて、深い感銘を受けていました。ゲルハルト・オピッツはそのドイツのピアノ芸術の伝統を継承する演奏家です。ブレンデルもそうですね。彼をスペシャリストと表現すると語弊があるので嫌なのですが、、、。実際に彼はスペシャリストと呼ばれたら、「私はドイツ音楽以外も弾きますよ。」とおっしゃると思います。でも、やはり彼のブラームス、ベートーヴェン、シューベルト、シューマンは、特別なのです。彼はこれらの作品と長く取り組んでいて、重要な教授でもあります。とにかく楽しみですね。彼の演奏は今、この時の現代の演奏でありながら、同時に素晴らしいドイツ・オーストリア音楽の歴史を感じさせてくれるものとなることでしょう。彼をソリストに迎えることはとても光栄なことです。

 

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日本に関する質問

ー日本へは度々来日されていらっしゃいますが、何か期待されていること、楽しみにしていることなどはございますか。

M:今回伺う都市には、過去に伺ったことのある所もありますが、残念ながら、ツアーで伺う時は、ゆっくりと観光をする暇がないのです。いろいろなお話を聴くだけで、実際に行くことが叶っていないことがほとんどです。ただし、昔(笑)若い時に、1991年にトン・コープマンのオーケストラの奏者として来日して、モーツァルトの交響曲全曲を演奏するために、かなり長いこと日本に滞在したのです。その時に時間に余裕があって、東京、大阪、京都を始めとする都市を見て回り、名前を忘れてしまったのですが、電車で郊外に行くこともできたのです。本当に美しくて、素晴らしかったです。都市部は壮観で華やかで、人々が活気にあふれてとても楽しいところでしたが、田舎の景色は代えがたいほどの美しさだったのです。とても穏やかで、美しい体験は忘れられないものとなりました。実は私の兄弟の1人が日本に住んでいたことがあって、日本で伴侶に出会い、その方は神戸出身なのですが、今はイギリスに住んでいます。こんな風に日本にはとても親しみを感じていますし、今までに出会った方々もみな礼儀正しく、親切で、良い印象しかないのです。音楽に対してもとても造詣が深く、繊細に感じ取って下さる素晴らしい聴衆です。ですからそのような方々の前で演奏するのは、とても大切で、楽しみなことなのです。

大分や新潟に伺うのは初めてですし、福岡にはほんの一瞬しかいられなかったのが残念だったのを覚えています。大阪にはうかがったことがあるのですが、堺は初めてで、素晴らしいホールがあるということで今からとても楽しみです。

もう一つ加えさせていただきたいのですが、オーケストラも日本に伺うのをとても、とても楽しみにしているのです。昨年まではコロナのニュースが入るたびに、来日できないのでは、と一喜一憂していました。そして今年に入ってからはウクライナのニュースが入り、再び、来日ができないのでは、と心配していたのです。それだけにうかがえることになって、皆大変喜んでいます。特にパンデミックによって、ドイツに閉じ込められていた日々が続き、日本に行って演奏することは、楽団員にとっても心から楽しみであり、とても大切な機会となっているのです。録音された音楽やストリーミングでパンデミック下でも音楽に触れることはできましたが、ライブコンサートにはかけがえのない価値が、演奏者にも聞く側にもありますね。

メッセージ

ー最後に、日本のお客様へメッセージをお願いいたします。

M:日本に伺えることは幸せで、とても恵まれた機会を与えて頂いたと思っております。日本には素晴らしいコンサートホールがあることは私もよく知っています。そしてそれ以上に素晴らしい聴衆がいらっしゃいます。皆様の集中力と音楽に対する強い関心、そしてコンサートの雰囲気を今でもありありと思いだすことができます。本当に日本はクラシック音楽の世界においても特別な国です。それだけに日本に伺って、実際に皆様を前に演奏するのを今からとても楽しみにしております。そしてただ音楽の美しさを楽しむのでなく、音楽と言う共通の言語を通して、みんなで一つの時を分かち合い、コミュニケーションを交わすことができたら、と思っております。残念ながら私は日本語を話せないのでお話はできないかもしれませんが、音楽と音楽の伝えんとすることを共に分かち合いたいですね。皆様とお目にかかるのを心より楽しみにしております。

インタビュー 前編中編 はこちらから

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