専属オルガニスト濵野芳純がウルバニアク教授にインタビューしました。
interview
りゅーとぴあ専属オルガニストの濵野芳純です。来たる11月13日(金)19:00より、りゅーとぴあコンサートホールで「クシシュトフ・ウルバニアク オルガン・リサイタル」が開催されます。私は8年前に、当時在籍していたアムステルダム音楽院のオルガン科クラスで、オルガン修復プロジェクトの見学のためポーランドを訪れたことがあります。そのプロジェクトの指揮をしていたのがウルバニアク教授でした。彼のその豊富な知識と格式高い優雅な演奏は、今でも記憶に残っています。リサイタル開催に先立って、メールで簡易的なインタビューを行いました。滅多にない貴重な機会ですので、当日はぜひコンサートホールに聴きに来てください。
クシシュトフ・ウルバニアク氏
―――オルガニストとしてのキャリアをどのようにスタートさせましたか?
ウルバニアク 9歳頃に初めてピアノのレッスンを受け、13歳でオルガンの勉強を始めました。ポーランドには様々なレベルの教育を提供する国立音楽学校が充実しているので、幼い頃から様々な音楽イベントに参加する機会に恵まれました。学生時代には、よりプロフェッショナルなレベルでコンサートやリサイタルを行うようになり、音楽家、そしてオルガニストとしての経験を徐々に積んでいきました。
―――オルガンの魅力は何だと思いますか?
ウルバニアク 私にとって、オルガンの魅力は、歴史、音色、そして建築様式が融合している点です。オルガンケースのデザインはもちろんのこと、楽器によっては彫刻やその他の装飾を通して表現される図像プログラム*も魅力の一つです。また、オルガンが持つ音色の幅広さと、実に多様な音楽作品が生み出す可能性にも深く感銘を受けています。どのオルガンも、その歴史的背景、構造、そして音響環境によって形作られた独自の個性を持っています。
*美術史における「図像プログラム」は、教会や祭壇画などの空間全体において、絵画や彫刻を特定のテーマに基づいて体系的に配置した装飾計画(構成案)のこと。
グダニスク聖マリア教会(ポーランド)の内部を描いた絵画。中央にはパイプオルガンが、吊り下げられた十字架とともに描かれており、キリスト教世界の象徴的なシンボルであることが窺える。
―――ヨーロッパでいくつか演奏されたことがあると思いますが、りゅーとぴあと同じグレンツィング社製のオルガン全般についてのご感想をお聞かせください。
ウルバニアク 先日、プラハとストックホルムで新しいグレンツィング・オルガンを演奏する機会がありました。それぞれの楽器に独自の音色がありますが、共通する素晴らしい特徴がいくつかあります。各ストップの個性、異なる音域の見事な融合、そして詩的な響きです。この組み合わせは特に刺激的で、楽器が多用途性と表現力を保ちながら、独特の音楽体験を提供できることを可能にしています。
ストックホルムで演奏したグレンツィング・オルガン
―――リサイタル以外に、日本で楽しみにしていることや体験したいことはありますか?
ウルバニアク 日本はいつ訪れても、人々は教養豊かで、美しい風景、素晴らしい料理があり、そして交わす会話が魅力的な印象です。私は特に、日本の豊かな文化遺産と、芸術表現や職人技へのこだわりを高く評価しています。リサイタルはもちろんのこと、人々との出会い、新しい場所の発見、そして日本ならではの雰囲気をより深く体験できることを楽しみにしています。
―――ポーランドにおけるオルガンの現状についてお聞かせいただけますか?
ウルバニアク ポーランドは、豊かなオルガンの伝統を再発見し、育みながら、この分野で急速に発展を遂げています。様々な時代の歴史的なオルガンが約1万台、そして現代のオルガンも数千台存在します。数百もの場所でオルガンフェスティバルが開催され、オルガン専門のサマーアカデミーも複数あります。主要都市には必ずオルガンを備えたフィルハーモニーホールがあり、コンサートや音楽教育の機会が豊富にあります。
私自身は、1631年と1719年に作られた歴史的な楽器を中心とした3つのオルガンフェスティバルを運営しています。長年、私はポーランドのフィルハーモニーホールのオルガンキュレーターも務めており、そこではジルバーマンの伝統を受け継ぐヴェグシャイダー製のオルガンと、リーガー製のシンフォニックオルガンを任されています。
1611-1633年製フンメル/ニトロフスキ・オルガン(オルクシュ)
ポーランドには8つの国立音楽大学もあります。私が勤務するクラクフのクシシュトフ・ペンデレツキ音楽アカデミーは1888年に設立され、オルガン科と独立した宗教音楽科があり、現在約40名の学生が在籍しています。これらの機関や取り組みはすべて、ポーランドのオルガン文化の継続的な発展に貢献し、私たちの歴史的遺産と現代の音楽生活を結びつけています。
クラクフ
―――リサイタルを楽しみにしている聴衆の皆様へのメッセージをお願いします。
ウルバニアク リサイタルを楽しみにしている皆様へ、今回の演奏の機会をいただいたことに深く感謝申し上げます。この音楽体験を皆様と共有できることを大変嬉しく思います。このプログラムが、皆様にインスピレーションと新たな発見の瞬間をもたらすことを願っています。
次回はウルバニアク氏の活躍するポーランドを、濵野芳純が紹介するレポートです。



