ヴィジョン弦楽四重奏団インタビュー
ヴィジョン弦楽四重奏団インタビュー
※2022年公演プログラムより抜粋
—ヴィジョン弦楽四重奏団はどんな団体でしょうか?
難しい質問ですね。「4人の若い男たちによる結成10年のグループ」ですかね。もう若いとは言えないかもしれませんが(笑)。
確かに私たちは弦楽四重奏団ですが、クラシック音楽だけでなく、ポップスやロックなども演奏するので、「バンド」でもあります。そして、伝統的なクラシックコンサートのみならず、斬新で実験的なことにも挑むのが私たちです。このあいだは、真っ暗な空間で演奏するという刺激的な体験もしました!
—ヴィジョン弦楽四重奏団結成のきっかけは何ですか?
私たちは幼馴染で、5歳くらいの時からお互いのことを知っていましたが、高校生までは4人で一緒に演奏することはありませんでした。卒業後はそれぞれ違う地域でクラシック音楽を学んでいましたが、すこし退屈に感じていました。そんな時に、同じような音楽性を持つ幼馴染のことを思い出し、1か月に1度会って、遊びで演奏するようになりました。それがヴィジョン弦楽四重奏団の始まりです。
—暗譜&立奏スタイルはどのように確立されましたか?
あるマスタークラスに参加した時に、ドビュッシーの弦楽四重奏曲を演奏する機会がありました。その時に、隣の部屋で同じ曲を練習していたカルテットがいて彼らの演奏を壁越しに聴きながら、彼らの音に合わせて演奏してみました。その時に初めて自分たちが楽譜を見ずに弾けることに気づいたのです。それが暗譜の始まりです。そして初めてのコンサートがあり、その時は楽譜を見ずに座って演奏していましたが、終演後に先生が、「暗譜で座奏は変だから、立奏してみたら?」と助言してくださって今に至ります(笑)。
—特に内声部を担当する2ndヴァイオリンとヴィオラは暗譜が大変だと思います。どのように暗譜しているのですか?
基本的にはリハーサルを繰り返しすることで暗譜しています。暗譜は、2ndヴァイオリンとヴィオラに限らず、全てのパートにとって本当に大変です。内声は1st ヴァイオリンを聴いて覚えるので、最初の段階で1stヴァイオリンが弾けてないといけないのです。チェロも同様で、もし自分が間違えたらみんなが気づいてしまうので、とてもプレッシャーを感じています。
—ジュネーヴ国際コンクールで優勝されて様々なご経験をなさったかと思いますが、何か印象深いことはありますか?
他の出場者は例外なく全チーム座って演奏しており、自分たちだけが立って演奏していたので、聴衆を見下ろしているような不思議な感覚でした。
第2次審査で演奏したモーツァルトの曲では、面白いハプニングが起こりました。チェロが最初にステージ上に出て1人で弾き、その後にヴィオラが出てきて演奏する予定でしたが、 なんとヴィオラのザンダーが出るタイミングを間違って遅れて登場したのです!多分メンバー以外は誰も気づかなかったと思いますが、あの時は笑ってしまいそうになりました(笑)。
最終審査は、ジュネーヴのヴィクトリアホールで行われ、非常に難しいとされるバルトークの第5番を演奏しました。全員がコンサート前の朝食は何も食べられないほど緊張していましたが、見事優勝できて嬉しかったです!
2022年10月、古町ルフルにて。
前回の来潟時、ヴィジョン弦楽四重奏団は公演前にホールを飛び出して、屋外での演奏も聴かせてくれました。