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専属舞踊団 Noism Company Niigata

国内唯一の公共劇場専属舞踊団

日本の地方劇場初の試み

りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館を拠点に2004年に設立された日本初で国内唯一の公共劇場専属舞踊団「Noism Company Niigata」。「No-ism=無主義」の名が表すように特定の主義・流儀に囚われず、東西文化の歴史の中で培われてきた様々な身体知を融合させ、21世紀の舞踊を新潟から世界に発信する活動をしています。オーディションで選ばれたダンサーが国内外から新潟市に移住し、りゅーとぴあのスタジオで日々厳しい訓練を重ね、創作した作品を国内および世界中で上演。現在、プロフェッショナル選抜メンバーによるNoism0(ノイズムゼロ)、プロフェッショナルカンパニーNoism1(ノイズムワン)、研修生カンパニーNoism2(ノイズムツー)の3カンパニーで構成されています。

専属舞踊団 Noism Company Niigataの画像

設立時のダンサー募集チラシ。「世界標準のプロフェショナル・ダンス・カンパニーを目指します」と明記されている。

10年間ヨーロッパの舞踊団で活動した後に帰国し、国内外で舞踊家・演出振付家として活躍していた金森穣にりゅーとぴあが舞踊部門芸術監督を打診したのは2003年。その際、金森から劇場専属舞踊団の設立を提案されました。
自分が芸術監督に就くなら、首都圏や海外の作品を招聘し上演するだけの箱という役割が多い日本の地方劇場のあり方を変えたい。世界の劇場のように専属舞踊団を運営し、世界中から集まった舞踊家が新潟の地に居を構え、じっくりと活動に集中できる環境で生み出される質の高い作品を世界へと発信したい。りゅーとぴあの取り組みがモデルケースとなり、日本中の劇場に波及して欲しいという金森の想いを受けて、この専属舞踊団の取組が始まりました。

専属舞踊団 Noism Company Niigataの画像

Noism立ち上げ公演『SHIKAKU』(演出振付:金森穣 写真:篠山紀信)。新潟公演は早々に完売となった。

数々の困難を超えて

2004年に手探り状態でスタートしたNoismの活動は問題が山積。国内に前例がないため、金森監督が言う海外の劇場のようにスムーズに事は運びません。例えば日々の訓練や創作活動のための専用スタジオや更衣室の手配、舞台スタッフの創作への関わり方に至るまで、市も交え逐一協議をしなければなりませんでした。

専属舞踊団 Noism Company Niigataの画像

『Nameless Hands』(演出振付:金森穣 写真:篠山紀信)。この作品でNoism08が第8回朝日舞台芸術賞・舞踊賞、キリンダンスサポートを受賞。

設立後から2018年までは3年ごとの活動更新システム。3年後の立場が不明確な中での創作活動、市をはじめとする行政のシステムと折り合いをつけていくことは、金森監督にとってストレスも大きく、海外から数年先の上演を打診されても回答が難しいという状況でした。さらに舞踊という芸術ジャンルになじみが薄い市民から活動内容に批判の声も上がりましたが、2007年、最初の活動更新時に続行を強く望んだのもまた市民でした。全国に広がるNoismのサポーターズで市内在住者の方が中心となり、市に継続嘆願書を提出。活動を続けることができました。

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2011年10月、第4期(10th~12thシーズン)活動更新記者会見。当時の新潟市長、りゅーとぴあ支配人とともに。

活動への批判に応えて

2009年、舞踊家の育成を強化するため、それまでのカンパニーをNoism1、研修生カンパニーをNoism2に。2019年には金森監督と、設立からのメンバーで副芸術監督の井関佐和子、Noism2リハーサル監督の山田勇気、3人によるNoism0を本格稼働。その間も質の高い作品を創作発信し続けます。

専属舞踊団 Noism Company Niigataの画像

Noism0『夏の名残のバラ』(演出振付:金森穣 写真:篠山紀信)。この作品で井関佐和子が令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。「新潟発の日本を代表するダンサー」と高く評価された。

国内外での評価の高まりの一方で、依然として市民の間にはNoismへの批判があり、市は2019年、外部専門家による「劇場専属舞踊団検証会議」を設置。新潟からの国際的発信力、作品の芸術性とダンサーの能力の高さは評価されたものの、地域貢献と国内他館との連携不足などが指摘されました。
この結果を受け、指摘された課題解決に取り組みました。新型ウイルス禍という状況においても市内学校等でのアウトリーチ活動、市民のためのオープンクラスなどを感染拡大防止を徹底しながら積極的に実施し、各種イベントにも参加。Noismの認知度向上を図っています。

専属舞踊団 Noism Company Niigataの画像

「市民のためのオープンクラス」は初心者から参加できる「からだワークショップ」(写真)。「Noismバレエ」「Noismレパートリー」は初級・中級と経験に応じたプログラムを用意。小学生から80代まで幅広い層が受講している。

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小学校へのアウトリーチは作品鑑賞、体験とどちらも子供たちが集中して取り組んでいる様子が見られる。

新体制で劇場文化の未来に挑む

活動の検証と共に、りゅーとぴあのレジデンシャル制度そのものの見直しも図られ、2022年、新たな制度に伴いNoismも活動体制を一新。「国際活動部門」と「地域活動部門」の2つに活動を明確化し金森監督が芸術総監督、井関副芸術監督が国際活動部門芸術監督、山田リハーサル監督が地域活動部門芸術監督に就任しました。また芸術総監督の任期は1期5年、最長で2期10年と新制度では制定されています。
井関監督は国際的視座に立った舞台芸術創造と国内外ツアー公演などの芸術面、Noism0とNoism1の事業企画を担当。山田監督は市民向けクラスや学校公演、市内イベント参加など地域貢献の芸術面とNoism2の事業企画の責任を担います。全体の芸術面、運営面を監督するのが金森総監督です。

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新体制記者会見。2022年9月、新潟市の定めたりゅーとぴあのレジデンシャル制度に則り新たなスタートを切った。

Noism新体制の就任会見で、金森総監督は「市と劇場と専属舞踊団が対等な立場で協力し合い、地方の文化芸術を醸成し、世界に発信する体制が整った。日本の新しい劇場文化の最初のページを開いたのが新潟。5年の任期中に、この制度が日本国内のどの劇場でも応用できる汎用性を持たせることが課題。難しいが、だからこそ献身する」と話しました。
井関監督は「メンバー全員が新潟市民として胸を張り、国内外に作品を届けていく。新潟にNoismがあることを市民のみなさんが誇りに思ってもらえるよう活動する」、山田監督は「地域にさらに愛される集団になるべく、さまざまな要望に積極的に取り組む」と決意を表明。
これまで同様、質の高い作品を国内外に発信し、より一層の地域貢献活動にも力を入れ、市民に舞踊芸術の普及と浸透を図っていく。新生Noismの挑戦は続きます。

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