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【シャンポーの森で眠る】日記 vol.5 女性キャスト・インタビュー

こんにちは!「シャンポーの森で眠る」ボランティアスタッフの神田萌子です!

日記vol.2では演出の戸中井さんからお話を伺いました。今回は、老婆役の皆さんを中心に、女性キャストの方へ突撃インタビュー!

稽古場ではローバーズ(自称!)という愛称が。休憩中も動きの確認をこまめに行なうなど、いつも一生懸命な皆さんです。今回は他のメンバーが知らない?!大人キャストの皆さんの想いを稽古場からお届けします。

作品の見どころを知るには、やはり創っている皆さんに聞くのがイチバン。熱意を持って取り組んでいる、すてきなお話をたくさん聞くことができました。それではさっそく覗き見タイムスタートです!

【シャンポーの森で眠る】日記 vol.5 女性キャスト・インタビューの画像
女性キャストのみなさん。仲良しごはんタイムにお邪魔しました!
(中央、廣瀬静江さん。左から佐々木彩さん、加野裕子さん、菊池恵美子さん、名和和嘉子さん、近藤綾子さん、佐野留美子さん、貝沼和喜子さん、青木美奈子さん)

 

一一 皆さん、老婆役や、村人ということですが、どんな人物をイメージしていますか。

菊池さん 私の老婆は、偉そうだよね。(笑)

青木さん 老婆だからね、知識や経験があるわけだし。私はね、知ったかぶりの老婆! 司祭様のお言葉を説いて回っているような。みんなへの想いがあるからこそ、そんなふうに言っちゃう。

加野さん ウワサ好きなおばちゃんかな。

貝沼さん シルビネやランドリーが大好き。可愛くて可愛くて仕方がないって感じ。ファデットも含めてそう。村の子どもたちが可愛いの。

上田さん 私は、サジェットという名前があるお婆さんなんだけど、村のカリスマ婆かな。見ようによっては魔女のような、双子のことをおどしたり、言い伝えを伝承していくような存在。でも明るいお母ちゃん。

一一 サジェットは、村のことを全体的に見ているような役柄です。サジェットから見たこの村はどんなものでしょうか。

上田さん 楽しくて仲の良い村人たちではあるんだけど、村の鼻つまみ者であるファデットとその一家には目が行くし、老人たちはそれに乗っかってしまって、庇う人間がいない。でもそれは、関わりがないだけなんですよね。知らないから。基本的には、みんなこの村のことを、村の人を愛している。そんな田舎らしい集落かな。

一一 やっていて思わず心にぐっとくるシーンは?

菊池さん それはもうやっぱり、フィナーレ!この間は思わず泣いたよね。

一同 わかる〜〜!

廣瀬さん まず男(シルビネ)役アンダーの木了涼くんの歌。本番で聴けないのがもったいないくらいだよね。

近藤さん それから歌いながら崩れていって、あのシーンにつながるところとかね!

佐野さん 家で歌いながら、そのシーンを思い返したら泣けてきちゃって。あるシーンで眠りにつくんだけれど、でも、とても幸せ〜って……。

一一 他にはありますか?

貝沼さん マドレーヌの歌のシーン!私もああなりたい!って憧れているの。切なくて、美しくて、泣けてきます。

名和さん 私は戦争のシーンかな。実は、その演出をつけた時に参加できなくて。途中から参加したので、まず観る側としてそのシーンを知ったんです。「わ、切ない。わーすごい……!」って思った。

廣瀬さん 稽古を撮影した動画で、客観的に観てまた感動するよね。

佐野さん うん、自分が内側の立ち位置だと、外側の動きが分からないから、全体的に見ると「ああ、すごい」って感じる。

一一 自分の動きの確認のためだけでなく、他の人がどうなっているのか見ていく視点は、大人の方だからこそ持てるのかな、と感じました。

菊池さん そりゃあ、若い人より何倍か生きてるからね!

一一 そうですよね。役としても経験豊富な方を演じる訳ですが、この作品を通して経験されたことはありますか。

近藤さん 何か特別なことというより、普通に稽古場に来られることがありがたくて。

一同 本当にそうだよね。

菊池さん 東京キャストの方と共演できることとか。

青木さん いろんな指導だって受けさせてもらっているしね。さっきも胸が一杯になった。(この日は、ボイストレーナーの先生によるボイストレーニングがありました)

近藤さん ただここに来れることだけでも、経験。

一一 皆さんは、演劇をするのははじめてなんですか?

菊池さん わたし含め、みんな少しだけ、ね。でも、こんな先生方に教えていただきながらするのははじめて。生楽譜だってそう。あんまり(楽譜を)読めないけど(笑)、先生がその場で作ってくださって、貴重な楽譜だよね。

一一 この「シャンポー」に参加して、自分の中で変わった気がするな、成長したな、というところはありますか。

菊池さん あ、私ウエスト少し痩せました!(笑) 家族には気のせいだって言われたけど。でも、痩せると思うの。だって、こんなに、若い人たちと一緒にいるんだもの。普段は大人ばかりに囲まれているけど、ここに来たら子どもがたくさん。

青木さん ここでは本当にいろんな年齢の人と関われるよね。

一一 今回、若い世代の方たちがキャストのみなさんをまとめてくれていますね。

佐野さん 振りや動きが良くなるためのことだから、どんどん言ってくれることはありがたい。説明もとってもわかりやすい。的確だよね。「分からないことがあったら何でも言ってください」って言ってくれるし。分かるまで教えてくれる。

貝沼さん 普段は共同作業なんて機会は少ないから。人のことを想って行動する、そういう点ですごく勉強になります。

一一 様々な年齢の人と関わる機会を持って、その関わりの中でハッと気付かされることも、市民ミュージカルの魅力かもしれませんね。

【シャンポーの森で眠る】日記 vol.5 女性キャスト・インタビューの画像
サジェット役、上田佳澄さん。いつも明るいみんなのお母さんです。

 

一一 ご自身にとって、この作品はどんな作品ですか。

名和さん 私にとっては、運命的な作品なんですよ。実はこの作品に関わるのは初演から。だから、もう3回目なんです。でもその時その時で集まるメンバーが違うから、同じ作品でも全く色が違う。初演は20年前。同じ歌を歌っていると、当時のことが思い返されて、今と20年前を行ったり来たりする。それがすごく楽しい。

その時はファデット役をしていたけれど、今回は老婆。昔の自分を見ているみたい、と若かりし頃を思い返す村人の気持ちを実際に感じながら演じています。

近藤さん 私はね、初演の時はいろいろあって出られなかったの。今回の出演者の中には、前回、前々回も出ている方がいて、当時はみんなのことがすっごく羨ましかった。今回、自分の生活に少し余裕ができたことや、これからのことを考えたら、挑戦するなら今しかない!って思って応募して、参加することができた。だからね、やっとここに来れた!って気持ち。

佐野さん 市民ミュージカルに一度だけ出たことがあって。その時は、音楽文化会館でやったの。本番も練習の環境も今とは全然違うんだけど、今回はそれ以来の参加。これまでも舞台に出たい気持ちはあった。でもなんだかあと一歩、勇気が出なくて。そんな気持ちを持ちつつ、今回は勇気を出してみたんです。だから、自分にとってこの作品は、とても大きな挑戦。

だけどね。できるかなって葛藤しつつも踏み出して、いざ稽古場に来てみたら、楽しい!しかなくて。特に楽しいと感じる瞬間は、シーンをやっていて、今自分がその中に、シーンの場所に存在しているって気づいた時かな。まだまだ難しいけど、その場所で、村人ととして、どう生きるかを考えながらやっています。この作品に関わってからの自分は、自分の皮を一枚、二枚はがしたような……「変身」(今回の舞台のワンシーンより)、かな。(笑)

青木さん 経験といえば、学生時代に東京の演劇サークルに入ってたくらい。私、観るのは好きなんです。でも、演るのは絶対無理!って思ってた。それが今年の春、キャスト募集しているのを見かけて。私、旦那に「生まれ変わったらあなたと結婚できない。舞台に立ちたいから。」って伝えているくらい、本当は演りたかった。オーディションもダメ元だった。経験もないし、勝手が分からないから、未だに不慣れです。だけど、いろんな方に助けてもらって……なんとかここまで続けてこられました。やっぱり楽しいですね。10代から60代までのいろんな人と、同じものを創れるって。

菊池さん りゅーとぴあが20周年。私は今年で還暦。そのお祝いで出たいなって。オーディションの応募用紙にもそう書いた!人生の節目に、舞台に出たいです、って。でも、そのお祝いで、こんなにたくさんの素敵な人たちと出会えて。ここに来ると、現実じゃない世界というか、違う世界に入った気持ちになる。現実の世界のこと考えなくてよくて…今目の前のことだけに集中できる。いつもと違うところにいられる幸せを、感じられる場所かな。

加野さん もともと、演劇を観ることが大好きで。だから、子どももAPRICOT(りゅーとぴあ演劇スタジオ キッズ・コース)に入れた。それを見て喜んでいたんだけど、実は自分もやってみたいという気持ちがあって……去年、ある音楽劇に初めて出てみたんです。一杯一杯だったけど、終わってみたら、またやりたいって思った。その後たまたま募集を見かけたから、子どもたちも誘って、最初で最後の親子共演したいなって応募したんです。

踊りも歌も経験がないから、演出確認用の動画を一週間ずっと観続けて動いて、やっとついていってる感じ。だけど、子どもに教えてもらえたり、コミュニケーションもとれたり、親子共演できる喜びを感じてる。気持ちとしては、親としての私でもあるし、子であっても演じることについては先輩だから、その時は一人の人間の私として聞いているかな。足でまといになっているかもしれないけど。本当に貴重な時間を過ごしてるの。

佐々木さん 私も観るのは好きだったんです。ミュージカルに市民が参加できると知って、初演の時からオーディションを受けてみたんです。でも、三回続けて落ちてしまって……。だからその後、ダンスとか合唱とか自分でレッスンして、「家なき子」「大いなる遺産」に出れて、今回、念願の「シャンポー」に合格できました。本当にやっと出られるんです。

前回(大いなる遺産)からもう10年経つんですよね。その分ブランクがあるし、稽古も一日に一気に進んだりするから間に合わない時があって。そんな時、みんなが私の位置まで覚えていてくれるんです。自分のことだけでも大変なのに……今ここで続けられるのもみんなのおかげ。

貝沼さん ボイストレーナーの方のレッスンがあって、その時「カンパニーのために何か一つしよう」という話があって。自分は今までできていたかな、一つでも見つけて実行しなきゃ、と思いましたね。稽古は、生活のうるおい。非日常の世界というか。でも、非日常を味わいに来ることが優先されてしまいがちで。みんなで創っている中の一人としてのがんばりが不足していたなあとすごく感じました。自分一人じゃどうにもならないところもあるけどね。だからこそ、みんなでやっていくことが大切だなって。

上田さん 前回の「ファデット」(2001年)に出ていました。同じ作品を経験していることになるけれど、毎回わくわくして楽しみな気持ちでいるの。動きにしろ、進め方にしろ、セリフの言い方にしろ、前はこうだったのに!とはならない。心に訴えかけてくるような戸中井さん(演出)の解釈を、自分がうまく表現したいって思ってるんだけど、なかなか上手くいかないよね。ステージングをされている押味先生のつける動きも面白い。歌と合わさったらもっと素敵だと思う。でも今、動きに精一杯で歌が疎かになりがちだから、頑張っていきたいところ。もう稽古の回数は多くないけれど、みんなで創り上げていくので、ぜひ観に来てくださいね!

 

市民ミュージカルをはじめ、演劇に挑戦してみたい方には、一歩踏み出す勇気や、わくわくする気持ちが届いたのではないでしょうか。

様々な人と出会う。前向きな気持ちになれる。大人になっても成長し続けられる。演劇の魅力が、みなさんの意気込みが、たくさん伝わってきましたね。

さてさて、今日はここまで。次回の覗き見もお楽しみに!

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