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【シャンポーの森で眠る】日記 vol.7 舞台を熱く支える人々

こんにちは!「シャンポーの森で眠る」ボランティアスタッフの神田萌子です!

イチョウの葉が黄色く色付いて、銀杏の実をつけ始めました。秋めく様子は、寂しさもあれど、なんだか心踊りますよね。劇中でも、秋祭りのシーンがあるんです。秋に心躍る村人たちの様子も必見ですよ!

さて今回も、ヒトに焦点を当ててみていきます!

作品の見どころを知るには、やはり創っている皆さんに聞くのがイチバン。インタビューの第4弾は、「いろんな人が関わっているよ編」です。舞台づくりに関わる、様々な役割を持った方からお話を伺いました。

それではさっそく覗き見タイム、スタートです!

ステージング 押味真里菜さん

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一一 簡単に自己紹介をお願いします!

押味さん 普段は、ダンススタジオの先生をしています。高校の時の音楽の授業で、ミュージカルを観た時から興味があったので、今回関わることができて嬉しいです。

一一 振り付け指導ではなく、ステージング、とは?

押味さん 振りだけでなく、構図をつくっていく……。想像の世界を視覚化するようなイメージなのかな、と思います。

一一 なるほど、実は、インタビュー第1弾、戸中井さん(演出)から「戸中井さんのもったイメージに合わせて、動きをつけていく」というお話を伺っていたんです。どのようにして動きをつけていますか。

押味さん はじめ、台本を読み込みました。分からないところは戸中井さんから、どういうシーンなのか教えてもらいいつつ、イメージを膨らませて。じゃあこういう感じでどうですか、と提案していきながら進めていたんですけど。自分が役になったときにどう感じて、その感じたことでどう動くか、というところを考えていくことが、すごく自分には足りなかったなということを、笹部博司さん(りゅーとぴあ演劇部門芸術監督)との稽古の中で気づきました。

振りを考えていく時は、「人間なんでもできる!」と考えるようにしていて。シーンの中のイメージとして、ここで人が飛んだら面白いな、とか、地から人が湧いてくるイメージがいいな、とかそういうアイデアをまずざっくり出すんです。でも、無理じゃないですか、どちらも。それを、どう実現できるかな、実現できなくてもそう見える方法はないかな、という感じで考えています。

一一 演劇での表現は初めてだそうですが、これまでを振り返ってどうですか。

押味さん 全部難しかった!(笑)  ダンスの振りは、音楽を聴いてそのイメージや歌詞に沿って決めたりすることができるけど、舞台やミュージカルとなると違う。歌や台詞の相乗効果になるように、動きをつけないと。

宮川彬良さんの作曲過程を聞いて(内容について)気付かされたこともいろいろとありました。自分のやることは、戸中井さんのイメージを視覚化したり、宮川さんがどういう意味でこの音をつけたんだろうと想像したり、男(シルビネ)の頭の中のイメージを想像したり…… 本当にいろんな人の頭の中のイメージを、舞台にあらわす感じ。キャストの皆さん、本当にすごいと思うんですよ。尊敬しています。稽古を見ていて、皆さんの演技で胸が熱くなったり。そんな皆さんに圧(お)されて、難しいことも乗り越えてこられたのかな、と。

一一 押味さんにとって、現時点で、演劇とはどんなものでしょうか。

押味さん 演じている側も、観る側も、別世界には行くけれど、それが自分たちの生活に何かを与えてくれるもの、なのかな。違う世界の話なんだけど、そこで伝わるものがあって、お客様も自分たちもいつもの生活に戻ったときに、活力になるというか。

一一 最後に一言お願いします!

押味さん 子どもから大人まで、たくさんの人に観てほしいです!

 

演出アシスタント 三浦真由さん

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演出の指示を確認する三浦真由さん(左)。聞いたことを、まわりに伝えられるよう頭の中はフル回転!思わず口が一文字。

 

一一 キャストとして参加しつつも、演出アシスタントをされているんですよね。演出アシスタントとして、どんなことをしていますか。

三浦さん 大道具の動きや、人の動きなどの流れを記録して把握しています。自分がどの役の人の代役にも入れるように覚えておくこと。演出家の言葉を、役者にわかりやすく伝えること。押味さんがつける動きは、前もって私が振りをやってみて、役者ができるかどうか、お客様の目にどう映るか確認もしていますね。演出家と役者の橋渡しのような。日々の稽古がスムーズに進むようにサポートすることがお仕事です。

そのために、稽古前には、戸中井さん(演出)と押味さんと打ち合わせをしています。打ち合わせでは、どんなシーンにしたいか、などを聞いているので、それならこういう動きの方がいいのではないか、と意見を出すこともあります。稽古では、もともと、打ち合わせの段階で聞いておいたイメージを役者全員と共有しやすいように、指示を言い換えてみたり、実際に動いて伝えてみたり。先生の考えているシーンのイメージに合わせながら、分かりやすいアドバイスができるように心がけていますね。

一一 三浦さんは、APRICOT(りゅーとぴあ演劇スタジオ キッズ・コース)に所属していたんですよね。

三浦さん APRICOTでもそういう、演出助手のような役割をさせていただいた時期もあって。やっぱりその頃の経験があっての、今ですね。

でも、APRICOTの時と一番違うことは、大人の方がいらっしゃること。子どもに伝わりやすい伝え方と、大人に伝わりやすい伝え方があると思うので、全体へ発信する時は特に気をつけて伝えています。それから、指示されたことができて当たり前のように聞こえないように。聞きづらい雰囲気にしていると、分からないままになってしまうから。どんな時もきちんと対応できるように準備しています。

一一 これだけのことをして、皆さんを支えてくれているんですね……!でも、メインは鬼火役(村人)ですよね。両立は難しそう……。

三浦さん でも、自分のことができていないのに、人には絶対に教えられないから。自分の役ができている回数は圧倒的に少ない分、家で練習して、分からない・できない状態のままでいないように、確認しています。演出助手との両立は大変だけど、今の説明だとこんな説明が足りないな、だからこう伝えよう、とか、役者もしているからこそできることもあるなと思います。

一一 お気に入りのシーンはありますか。

三浦さん 老婆が出てくるシーンとか。老婆役のみなさんのいきいきとした演技につられて、みんな思わず笑顔になってしまうんです。その様子を見て、私も楽しくなっちゃう。(笑)

一一 稽古を重ねるごとに味が出てきますよね!ご自身にとって、この作品とはどんな作品でしょうか。

三浦さん 幅広い年齢の方と関わりながら創りあげることができる市民ミュージカル。参加するのはこの作品が初めてだったんです。いろんな方と関わったからこそ、感じることがたくさんあって……きっと私のなかで、いつまでも思い出に残る作品になるんだなと思います!

一一 最後に、一言お願いします!

三浦さん 観に来ていただくお客様からは、大切な時間をいただきます。「素敵な時間を過ごせた、観に来て良かった!」と公演時間分の価値を感じていただけるような作品になるように、最後の最後まで頑張ります!

 

稽古ピアニスト 小林浩子さん

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一一 稽古を見ていてどうですか。

小林さん 宮川彬良さんの作る曲はとてもシンプルな音楽、流れなのに、痛々しかったり、えぐられるような雰囲気があったりするんです。シンプルな歌詞と音楽の融合が素敵な作品だな、と。悲しい歌でも、悲しいことを前面に出しているわけではないシンプルな音楽なのに、とっても感動させられるというか。弾きながらいつも泣きそうになっています。

役者さんの演技を見ていても、胸が痛むくらい熱いものがあります。ご指導が入る度に役者さんたちがどんどん変わっていくんです。台詞や間合い、歌い方が変わってくれるから、私もこう弾きたい!と閃きを与えてくれて。日々変わって面白いです。私が聴いて、あ、そう来るんだ!と感じたようにそのまま弾くと皆さんも反応してくれるので、あまり考えずに弾いているというか。

宮川さんも新潟にいらっしゃる度に、やっぱりここはこうしようか、と変えることが多くて。今のところフォルテ(強く)って言ったけど、ピアノ(弱く)にして!とか、4小節って言ったけど8小節にして!とか。毎回変わるのも、やる度に、もっとこっちの方があの人の気持ちになれる!とか、先生も感じたまま閃いたままを鍵盤にただ出しているからなんでしょうね。それを見て、舞台は生き物ってそういうことなんだな、と思いました。

一一 どんなところがお気に入りですか。

小林さん 同じ歌が本編で何回か出てきて、その曲の変化が好きです。男に向けた救いの音楽が、深いシーンでバックミュージックとして流れている時とか……「そこでそのメロディを使うか〜!」という場面があちこちにあるんです。

一一 稽古で気をつけていることはありますか。

小林さん 宮川さんが弾くと全然違うんです。だから思い切って、「どうしてあんなに歌いやすそうに弾けるんですか」って聞いたら、「僕も一緒に呼吸しているんだよ」って。歌い手(役者)さんが吐くところは吐いて、吸うところは吸って……ほとんど歌う時と同じ筋肉を弾きながら使ってるんですよ。私、今までは楽譜通りに弾いていただけなんですけど。それができるように気をつけています。役者さんと一緒に呼吸ができると、音楽で会話できているなあと感じられるんです。

それから、宮川さんの弾き方を聴いていると、楽譜に書ききれない抑揚やテンポがあるんです。私もそうやっていいんだ、って。感じた通りに弾いている時は何も言われないんですけど、楽譜通りだけで弾いている時には、宮川さんにもっと!とご指導いただくんです。感じたままに弾くことも、気をつけていることです。

それから、作曲された時の話も伺ったんです。まず台本を読んで、宮川さんの心に感情が入って……感じた気持ちのまま、ペンを持って、ダーっと書いて、今私たちが持っている楽譜が出来たんですって。感じ切って、そのまま音符にすると、(楽譜を指しながら)こうなる。いい意味で楽譜はメモでしかないから、新潟の皆さんの演技を見て毎回変えたくなるし、変えられるんでしょうね。だから、演奏する私も閃きをもって弾けるようにしています。

一一 作品への意気込みを教えてください。

小林さん きっと本番当日まで、舞台や音楽……演者さんの台詞の言い方とか、演奏の私たちの弾き方とかも変わり続けていくと思うんですよ。本番は4公演、その4回ともきっと違うものになる。それでこそ、いい公演になると思うので、その時々の空気を大事しながら、稽古も本番も取り組んでいきたいです!

 

歌唱指導 西潟明美さん

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一一 歌稽古の時に気をつけていることや、こんな風に歌ってほしいということは。

西潟さん 技術面では、発声の全てかなあ。最低限、姿勢と息はしっかりと。まず最初の息をどう吸うか。息が吸えないと次の声出しが上手くいかないから。そこは気をつけて指導しています。歌の表現としてはね、とにかく今、自分がどういう状態でそこにいて、その歌を歌っているのかを感じてほしい。ただその場で口動かして歌詞を出しているんじゃなくて。一人ひとりが生きた歌を歌って、生きた言葉を出してほしい。言葉が伝わらないと、存在も伝わってこないから。全部含めて、丁寧に、言葉を。伝わる言葉を。

一一 歌詞を伝えることができるのは役者しかいないですからね。本番で楽しんでもらいたいところはどんなところですか。

西潟さん 役者さんにはね、一体感を感じてもらえたら正解なんだ。一つの空気になれる時が必ず来る。全員が同じところで息を吸えるとか。そうすると全ての歌で、それぞれ個性ある個々ではあるんだけど……一つのバーンとしたパワーの塊みたいに、聴こえるんだよね。それが、みんなが同じ気持ちでいけたっていう証拠になるかな。この中に自分がいて、気持ちがいいという感じなの。一人だけががんばっているんじゃなくて……がんばらなきゃいけないんだけど、がんばった結果、あっ、この空気感の中に自分も入ってる!という感覚。みんなの音がそう表現できたら、お客様にね、届くと思うんだ。簡単な表現だけど……感動を与えられる歌に、近づけるかもしれない。

だからお客様には、ぜひ音楽、曲を楽しんでもらいたい。曲が全てを表現しているから。曲と歌が一緒になって、溶け合う。オーケストラの音があって、音の上に歌が入って、一つの形になるんだ。そういうものを楽しんでもらえたらいいかな。

役者さんが楽しむっていうのは結局、お客様に村人たちのことが伝わった時だよね。お客様が楽しめて、素敵だと感じたら、役者さんにとっても楽しい時間をもらえたってことになると思うんだよね。お客様の評価が、結論、だから。

一一 最後に、一言お願いします!

西潟さん キャストへ、その気持ちになって歌ってもらえば。気持ちになってというか、気持ちになった、になってくれるといいのね。お客様へは、そうだな、……伝えられたらいいな。

 

にいがた東響コーラスのみなさん

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今回、作曲・音楽監督の宮川彬良さん、第一線で活躍される東京キャストの皆さまを筆頭に、コーラスとしてにいがた東響コーラスの皆さまに出演していただいたり、ボイストレーナーの方をお招きしたりと、「シャンポー」は本当にたくさんの方に支えていただきながら制作しています。

 

10月に入り、いよいよ本番も間近に。平日の稽古日数も増えてきました。より気持ちを込めた演技になって、顔つきが変わってきた新潟メンバー。今月は東京キャストの皆さまも稽古場入りします。これからまた、少しずつ色が変わってさらに素敵になると思うと、わたしも楽しみです!

さて今日はここまで。次回の覗き見もお楽しみに!

 

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