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Special interview 横坂 源(後編)―僕の過去と現在が行き来するような演奏になるかもしれません。

新潟市出身のチェリスト・横坂源さん。前編のインタビューに引き続き、後編では無伴奏チェロ組曲への想いと横坂さんのこれからの演奏活動についてフォーカスしました。幼少期から無伴奏チェロ組曲を弾いているからこそ、現在もその当時の感覚が刺激され、さらに進化していく2023年1月28日(土)開催の無伴奏チェロ・リサイタル。新潟のお客様へのメッセージもいただきました。

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(c)Takashi Okamoto

 

演奏していると、幼稚園の頃に演奏していた感覚が蘇ってきます

――無伴奏チェロ組曲を演奏する心境は。

まず、ステージが本当に寂しいので、いつも一緒にステージに立つ共演者の大切さをとても思い知らされますね(笑)。全ての役割がチェロ1本で実現できる曲で、他のソナタや小品を弾くときとは違う難しさがあるので、そこから来る緊張はありますね。

バッハの無伴奏は幼稚園の頃から弾いているので、その時の感覚がふっと蘇ってくることがあります。当時は何も考えずに弾いていた部分について意識が向いてきてしまうことがあるので、そこを新しくアップデートしていけるかという難しさがありますね。また、昨年の演奏から新たに変化している部分もありますので、演奏の変化に面白さを感じつつも難しいなと思っています。

 

――以前、横坂さんが別のインタビューで「良いコンサートってどんなコンサートだと思いますか?」という質問に対して、「それはきっと人の心に残るコンサートだと思う」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

観客としてホールに足を運んだ時、「今日は良いコンサートだったなあ」と思うのはやはり、その瞬間だけではなく、翌日も、あるいは一生記憶に残るようなコンサートだと思います。

例えば、今の時代で広く受け入れられている、テンポがよくわかりやすい音楽はクラッシックの作品にもありますが、ソナタはちょっと違います。例えて言うなら、“絵本だったものが小説になる”ような感覚。最初はハードルが高いけれど、読み進めていくとどんどん先の展開が気になる小説のような作品がソナタにはたくさんあります。その面白さをお客様に楽しんでいただくために常々思案していて、お客様の心に残るようなコンサートにできたらと思っています。

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2005年12月9日りゅーとぴあ・1コイン・コンサート~ランチタイム・コンサート~ Vol.21「新潟発若き才能“チェロ”」出演時のようす

今興味があるのは、ひとりの作曲家について“とことん”研究すること

――2023年、年明けの演奏会となります。2023年の目標や今後の活動への想いがあればお聞かせください。

もちろん、これからも室内楽、ピアノとのデュオ、オーケストラとのコンチェルトなど、さまざまな演奏会に取り組みたいという思いは変わりありません。

一方で、今特に魅力を感じているのは、一人の作曲家にスポットをあてたプログラムです。文献を読んだり、音源をたくさん聴いたりして、その作曲家について深く探ることで見える景色がとても面白いなと思います。機会があれば、一人の作曲家を取り上げたコンサートをしていきたいです。

また、これまで色々な方と関わって、一人ひとりの異なる魅力に触発されて自分の感覚も変化し、学ぶことがたくさんありました。「この人とこの作曲家にスポットを当てて深めていきたい」という想いが生まれてきているので、行動に移せたらとも思いますね。

 

――新潟への帰省は久しぶりですか?また、帰省の時はどのようにお過ごしですか。

コロナ禍以降は、なかなか帰省しにくい状況であまり帰れていませんでしたが、コロナ禍前までは年2回くらいで新潟に帰省していました。

新潟駅はずいぶん変わったんですよね。越後線のあたりのホームが変わったことや新幹線からそのまま隣のホームに移動できるみたいな話は聞いています。以前、雪で寒い中、1番線のホームの立ち食い蕎麦屋で友人と電車が来るまでの5分間くらいで食べた記憶がすごく残っています。

小さい頃はお正月になると、こたつで紅白歌合戦を見ていましたが、今はあまりテレビを見なくなって、お酒とお刺身は食べるかな、という感じです(笑)

 

――新潟のお客様にメッセージをお願いします。

新潟は、ぼくの人間形成の大きな部分を占めています。受けてきたレッスンや、関わってきた方々、色々な経験が今の自分に大きな影響を与えていると思います。新潟でコンサートをすると、いまだに幼稚園や小学校の時の先生が足を運んでくださいます。また、新潟の友人とは一緒にご飯を食べたり、お知らせしなくてもコンサートに来てくれます。これまで自分が深めてきたものを、演奏できる環境は本当にありがたいですし、新潟は本当に特別な場所です。

今回のプログラムはバッハの無伴奏で、幼稚園の頃から音を出していた曲を演奏させていただくため、当時のことをフワッと思い出しながら演奏すると思います。それを感じながら今までお世話になった皆さまに音楽で感謝をお伝えしたいです。

 

公演詳細

りゅーとぴあ会員限定コンサートVol.6
Vol.6 横坂 源 無伴奏チェロ・リサイタル

~故郷新潟初!オール・バッハ・プログラムに挑む~

2023年1月28日(土)14:00開演
全席指定3,000円

チケット好評発売中!

※こちらの公演は「N-PAC mate 友の会フレンズ(入会金0円・年会費2,750円税込)」と「インターネット会員(入会金・年会費無料)」に入会/登録した方のみチケット購入ができます。
ご入会・ご登録の詳細はこちらをご覧ください。

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