プロの能楽師がお能の見どころをご紹介！

能楽師4人組が、分かりやすく丁寧な解説と実演でお能の楽しさを皆様にお伝えします。一つの能をテーマに、お能初心者の方でも楽しめる鑑賞方法やお能の見どころをご紹介。「お能の鑑賞が初めて」という方にも十分にお楽しみいただける内容です。能楽堂で「日本の和の心」を感じてみませんか。

梅の香の漂うなか、和泉式部の霊が月夜に舞う

テーマ

能「東北（とうぼく）」

ゲスト

竹市学（笛方藤田流）

出演

佐々木多門、大島輝久、友枝真也、塩津圭介（シテ方喜多流）、梅内美華子（歌人）

【東北　あらすじ】

物語の舞台は早春の京の都。東国から都へ上ってきた僧の一行が、梅の花が咲き誇る東北院(とうぼくいん)に着きます。一行が梅の花に見入っていると、そこに一人の美しい女が現れ、この梅は歌人・和泉式部(いずみしきぶ)が植えた木であること、軒端梅(のきばのうめ)と名づけた由緒などを語ります。そして僧に読経を頼み、自分は和泉式部の霊であることを告げて夕影の花の蔭に消えて行きます。夜になり、僧が月夜のもと軒端梅で読経し供養していると、美しい女房装束で和泉式部の霊が現れます。和泉式部は、生前の関白・藤原道長(ふじわらのみちなが)との思い出を語り、今は成仏し歌舞(かぶ)の菩薩となっていることを話します。そして、和歌の徳や霊地である東北院を讃え、舞を舞います。やがて和泉式部が昔を懐かしんだ後、寺の方丈(ほうじょう)へ帰っていくと、僧の夢は覚めるのでした。
王朝文化の華やかさが窺える、美しく優雅な演目です。

能「東北」

出演者 ＆ ゲスト出演者

佐々木 多門　SASAKI Tamon

シテ方喜多流能楽師。1972年生。喜多流能楽師・佐々木宗生の長男。塩津哲生に師事。

大島 輝久　OSHIMA Teruhisa

シテ方喜多流能楽師。1976年生。喜多流能楽師・大島政允の長男。祖父・大島久見、父及び塩津哲生に師事。

友枝 真也　TOMOEDA Shinya

シテ方喜多流能楽師。1969年生。喜多流能楽師・故友枝喜久夫の孫。友枝昭世に師事。

塩津 圭介　SHIOTSU Keisuke

シテ方喜多流能楽師。1984年生。喜多流能楽師・塩津哲生の長男。父・塩津哲生に師事。

梅内 美華子　UMENAI Mikako

歌人。1970年生。馬場あき子に師事。1991年角川短歌賞。2001年『若月祭』で現代短歌新人賞。2012年『エクウス』で芸術選奨新人賞及び葛原妙子賞。「あぢさゐの夜」で短歌研究賞受賞。現代歌人協会理事。

ゲスト

竹市学　TAKEICHI Manabu

笛方藤田流能楽師。1972年生、愛知県出身。1996年国立能楽堂三役養成事業、三期生卒業。